シーホースとナッツ

長女「きなこ」と次女「あんこ」の子育て中に考えたこと、の保管場所。

「フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由」

これもタイトルが気になって、先日読んだ本と一緒に
買ってみたのですが、読む順番としては
こちらが後で正解でした。

主夫としてフランスで子育てを経験した方の本で、
かの国の育児と家族支援にまつわる社会の仕組みや
そこに暮らす人々の考え方を紹介しつつ、
比較として日本がこれまで歩んできた流れと
現在の状況についてまとめてくれています。

前回の本では各国の取り組みを知るきっかけを得て、
今度はそれらの中でも一つの国に絞ってあるので
より深く、国全体としてどんな思想に基づいて
どんな形で子育てを支援しているのかを
知ることができました。
そして何より、今僕らが暮らす日本という国が
どうして今のような「子育てのしにくい」国に
なってしまっているのかが、
とても良くわかってきたような気がします。

日本も民主主義の国なので、今の国の仕組みは
「国民の意思」で出来上がっているんだと
思うのですが、だとしたら今の暮らしにくく
子育て世代に優しくない社会も、日本の人たちが
望んでそうなった、ということなんですよね。

本の中で取り上げられていて特に印象的だったのが
かつて秋田で「子育て新税」というアイデア
市民の反対でなくなってしまったという話で、
ほとんどの市民が「子育て支援」の政策には
賛成しているのに、そのために必要な増税には
同じくらいの割合の人たちが反対していた、
という内容でした。
公的な支援は欲しい、でもその元となる税金は
なるべく納めたくない。そんな矛盾した考え方が、
意外と日本人の大方の意識だったりするのかも…
と感じさせられるエピソードでしたね。

みんなでお金を出し合って、誰もが人生の中の
どこかで出会う「助けが必要な場面」で
そのお金が少しでも助けになってくれるように、
あらかじめ上手に分けておく。
それぞれのお金をどのくらいそこに割り当てるかは、
みんなで話し合って決める。
そんな感じのものが、
税金と福祉の大まかな枠組みでしょうか。

自分自身を振り返って考えると、そんな当たり前の
社会の仕組みすらちゃんと理解しないまま、
大きくなってきたような気がします。
そして自分が当事者になってから初めて、
ようやくいろんなことを考えたり調べたりして
少しはわかるようになってきました。

それまでは、まず学校でそういうことを
ちゃんと教えてもらった記憶もないし、
何となく社会全体の風潮みたいなものに
特に疑問を持つこともなく
流されて生きてきてしまった感じがしています。
ちなみに僕自身が感じ取った社会の風潮とは、
一つには「行政はあてにならないから、
とにかく自己責任で!」というものでした。
だから段々と歳をとるにつれて、これから先を
生きて行くことが恐くなっていっているのかと、
妙に納得した気分です。

正直なところ、「もし自分が支援を求める
当事者になった時どうするか」という視点が
欠けていたのは確かだし、
もし行政があてにならないのなら、どうしたら
そうじゃない社会を作れるのか?ということを
考えようともしてこなかったのが事実だと思います。
そして、もしそれと同じような考え方をする人達が
自分以外にもたくさんいて、
それが「世代」を作っているのだとしたら…
今の暮らしにくい社会が出来上がったのも
実に納得、といったところでしょうか。

いろいろと考えさせられることが多くて
今は全てをまとめ切れませんが、
個人的にとてもためになる本でした。
これを機会に、これからのものの考え方というものを
改めて見直してみたいと思います。

フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由
(2009/02/25)
横田 増生

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