シーホースとナッツ

長女「きなこ」と次女「あんこ」の子育て中に考えたこと、の保管場所。

「世界に学ぼう!子育て支援」

世界6つの国について、子育てを巡る社会的な支援が
どのように行われているのかを紹介した本です。
編著は教育テレビ『すくすく子育て』でおなじみの
汐見稔幸さん。
この方が関わっている本には、偶然なのか
興味の方向が同じなのか、本当によく出会います。
単純にタイトルに惹かれて読んでいた本が
後で見返してみたらこの人の手がけたものだった、
なんていうこともありました。

さて、自分が子育ての当事者になったことで、
日本での子育てに対する社会的な支援も
いろいろ具体的に見えるようになってきてました。
しかしそれは、正直言ってガッカリすることばかり。
少子化対策」の名のもとに、もう少し手厚い
支援が行われているものと期待していたのですが、
実際はあまりにも「ほったらかし」の印象です。
もしかしたら、今までデンマークをはじめとする
北欧タイプの取り組みばかり見聞きしていたせいで
余計にギャップが大きく感じるのかも…?と思って、
今回この本を読んでみることにしたのでした。

結論を言えば、やっぱり日本の取り組みには
まだまだガッカリ感がぬぐえません。
この本が出たのが10年ほど前ですが、
それと比べても、やっぱり日本の取り組みは
だいぶ遅れているように見えてしまいます。
遅れているというのは、未開発というよりは
「社会の変化」に対応できていない、という意味で。

核家族化、共働き率の増加、そして少子化
どの国でも同じような問題は起こっていたようで、
それに対して各国それぞれが、程度や手段に
違いはあるものの「何とかして良くしていこう」
といった対策が積極的にとられてきたからこそ
今の形になっていった、ということなのでしょう。
公的な支援に乏しいと言われるアメリカであっても、
それを補うだけの企業やNPOの盛んな活動によって
しっかりバランスが保たれていて、結果的に
親が子どもを育てることを「楽しい」と感じる割合は
日本よりずっと高いんだそうです。

そういう各国の取り組みに対して、日本の場合は
あまりにも自由というか、成り行き任せなように
思えてしまいます。
何より、他の国と比べて一番感じるのが
「この国をこういうふうにしていきたい」という、
方向性がどうにも見えてこないことです。
少子化対策」と一言で言っても、なぜ子どもを
増やそうとするのか、その子ども達をどうやって
育てていこうと思っているのか、その子達が暮らす
未来の日本がどうなって欲しいと思っているのか。
そのすごく基本的なビジョンがハッキリしない。
いや、本当はしているのかもしれないけれど
少なくとも当事者である僕らの元には
あんまり伝わってきていない。

正直、感覚としては「自由=自己責任」という感じで
全てが個人の判断にお任せになっていて、
「勝手に生んで、勝手に育ててください」
と言われているような印象なのです。
そして、実際やってみたらわからないことばかりだし
教えてくれる人も支えてくれる人もいないしで
孤立感に苦しむ親達、というパターンが
意外に多いのが日本の実状なんじゃないだろうか、
という気がします。
だからかのかわかりませんが、どうも巷には
「子育てはしんどい」というイメージの方が
広まって行っているように見えます。

僕は、「子育ては楽しい!」という意見を
全肯定したいし、みんながもっと
子どもをもつということをポジティブなこととして
捉えてくれたらいいなと思っています。
そしてできれば日本の社会全体が、
子どもをもっともっと大切なものとして
扱ってくれるようになって欲しいと思っています。
そのためにはやっぱり社会的な支援の手は
今まで以上に必要だし、積極的に「何とかして
良くなるような」対策がとられることを望みます。

そもそもそういう社会を作っていくのが我々世代の
役割なんだろうという声が聞こえてきそうですが、
かといっていったい何から始めたらよいのかも
わからないので、ひとまずここで声をあげることと
今回読んだ下の本をおすすめすることで、
自分なりの一歩としたいと思います。

世界に学ぼう!子育て支援―デンマーク・スウェーデン・フランス・ニュージーランド・カナダ・アメリカに見る子育て環境世界に学ぼう!子育て支援―デンマーク・スウェーデン・フランス・ニュージーランド・カナダ・アメリカに見る子育て環境
(2003/08)
汐見 稔幸、大枝 桂子 他

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