シーホースとナッツ

長女「きなこ」と次女「あんこ」の子育て中に考えたこと、の保管場所。

「産後クライシス」記事の前に、対策について考えた

東洋経済ONLINE」というサイトで、
ビジネスニュースに混じって連載されている
「産後クライシス」の記事が面白いですね。

東洋経済ONLINE - 産後クライシス

産後クライシスという言葉が「あさイチ」から
生まれてもう1年以上がたちますが、
今回改めてしっかりと取り上げられたことで
世間でも盛り上がっているように見えます。
実際この記事も番組のスタッフさん達による
ものなので、きっと長く向き合ってこられた
その結果が詰まっているというか、率直に
とてもいい内容だなぁと思って見ています。

そしてこの連載、次回には産後クライシスの
「対策」のようなものが示されるようですね。
あさイチを受けて書いた例の記事の件以来
1年余り、自分としても何となくですが、
どうしたら産後クライシスを避けられるのか
についてはずっと考えてきた気がします。

そこで、次に公開される3回目の記事に
「こんなことが書いてあったらいいのにな」
という要望というか願望みたいな形で、
今までに考えてきたものを
まとめてみることにしました。
題して「産後クライシスを回避する方法」。

それは、
一つは男性が正しい知識を身につけること。
もう一つは夫婦間でもっと会話をすること。

何だかすごくざっくりですが、結局のところ
これしかないんじゃないかと思ってます。

現状ではあまりに事前に触れる機会が少なく
その気にならない限りまず入ってこない、
男性の「出産・育児」に関する知識。まずは
これを増やすことを何とか実現してほしい。

現実はテキスト通りになんていかないし、
実体験してみないとわからないのは勿論で
それは女性だって同じことなのですが、
その「実体験」が得られない男性だからこそ
まず「一般的にはこう」、という部分を
知識で補っておく必要があると思うんです。

じゃないと想像力が働かない。
「これってこういうことかな?」とか
「今もしかしてこうなんじゃないの?」とか、
当たっているかどうかはともかく
まずは想像してみてほしいのです。
奥さんが産前産後に直面する様々な困難を、
「あれかもしれない」と気づくきっかけの為に
基礎的な知識が男性に備わっていることが
必要なんじゃないかと思います。

あと「不安を煽ると男性はますます遠ざかる」
というような意見も見かけましたが、
不安というのは「正体がわからない」時に
最も大きく膨れ上がるものだと思うので、
逆に正しく知識を身につけ、全体像を把握して
おけた方が、よっぽど恐れたり逃げたりせず
立ち向かうことが可能になるように思えます。

そしてもう一つの方法。
とにかく2人で会話をして、
意識のすり合わせをいていくしかない。
それも産後の段階になってからでは全然遅くて
もっとずっと前から。
できればもうお付き合いが始まった段階から、
お互いどういう価値観をもっていて
どんなことを考えていて、
相手には何を望んでいるのか、について
もっと日常的に、普通の話題として話せる
ような間柄になっていてほしい。

そういう積み重ねがあって初めて、
実際に奥さんが出産する段階になった時に
どういう状態になり、何に苦痛を感じ、
どんなサポートが欲しいと思っているのか。
女性本人ですら予測不能なことだったり、
説明しにくいことだったりするそういう話を
お互いにハードル低く言い合える、
また聞き合えるんじゃないかと思うのです。

ここまで読んで、
「おいおい何だか面倒臭そうだな」とか
「全然ライフハックじゃねぇじゃねぇか」
と思われていたらごめんなさい。
別にそういうものを提案する話ではなく、
あくまで個人的に「こうかな?」と思うことを
ただ書いているだけなので許してください。

でも、本当にこういう「泥臭くて、地道な」
方法しかないんじゃないかと思っています。
そんな特効薬みたいな簡単な方法があるなら
そもそも「産後クライシス」なんて言葉は
生まれてないし、もしそんな方法が出てきても
何かのダイエット法みたいで眉唾モノですね。

とにかく、実際に産後の状態になってから
何か事を起こしたのでは遅すぎる、のは
間違いないと思います。
その時奥さんは想定を遥かに超える事態に
極限の状態になっている可能性があるので、
そんなタイミングになって初めて
「今こそチャンス!夫婦で大いにぶつかって
 二人の絆を深めよう!」なんていうのは
あまりにも無謀な話です。
ていうかそれこそ危機が大きくなってしまう。
仮にそれを男性の側が言っているとしたら
一方的すぎというか自分勝手すぎというか、
そもそも「女性側の愛情の低下」という
産後クライシスの意味を考えると、そんなの
男は絶対言っちゃいけないんじゃないかと
書きながらちょっと怖くなってきますね。

さて改めて、このあたりで
「何か男の方ばっかり負担が多くねぇか?」
という声が聞こえてきそうな気がしますが、
それは仕方ないというか当然だと思います。
さっきも書きましたが、女性は出産という
「実体験」をしていますので、それだけで
いくら想像してもしたりないくらいの負担を
背負っていることになります。
加えて生理しかり、妊娠中のトラブルしかり、
そして悪露、授乳、睡眠不足、育児ストレス…
女性には出産に関連して山ほどの負担が
「実体験」としてのしかかっている訳です。

対して男性はというと、その気になれば
ゼロです。
一切自分の身に何の変化も起きることなく、
何のストレスも受けることなく
出産前後を過ごすこともできてしまうのです。
だからこそ、もしクライシスを回避したいと
願うのであれば、男性側から動き出さないと
流れは止まらないのだろうと思います。

ていうか、こんなことわざわざ書くのも
本当にどうかと思うんですが、
自分が好きで選んだ相手なわけでしょう?
いま頑張ったら、これから先も
ずっと仲良くしていられるかもしれないんなら
そのくらいの負担、文句言わずにやれよ!って
話じゃないですか。
「女は子ども産むと変わっちゃうからなぁ」
じゃねえですよ。お前のせいだろバカ!って
話じゃないですか。
お願いですから、それくらいやりましょうよ。
何でみすみす大好きな奥さんが一人きりで
人格変わるくらいのストレスを受けて
自分に対して敵意を持とうとしているのを、
指をくわえて見てるようなことするんですか。

もし「産後クライシス」というものを
前向きに捉えられるとするならば、
男が全力で対策をして、一生懸命努力して、
勉強して、妻の負担を少しでも理解して、
話を聞いて、一緒に考えて、悩んで、泣いて、
その結果無事にクライシスを回避した時に、
初めて今までと変わらない、
幸せな夫婦関係を続けていけるかもしれない。

そんなふうに
「回避することにこそ価値がある」
というのが、
産後クライシスというものが持つ
唯一のいい面だと僕は思います。