シーホースとナッツ

長女「きなこ」と次女「あんこ」の子育て中に考えたこと、の保管場所。

『産後クライシス』を死語にしよう

先週末に見た、2つの番組についての感想と合わせて
いろいろ考えたことなどを書いてみようと思います。

一つ目は日曜朝のNHKおはよう日本」内での、
『産後クライシス』をテーマにした特集です。
以前「あさイチ」でこの特集が組まれた時は
もっと扇動的というか、ともすれば夫婦の問題を
より大きくしてしまいそうな番組の作りに
なっていたのに対して、今回はあくまで
「こういう取り組みがありますよ」というだけの
とてもフラットなものになっていて、
好感が持てました。

前半は「マドレボニータ」さんの取り組みで、
数組の夫婦がお互いに対して思っていることを
「公の場」で言い合ってみようというもの。
そして後半のVTRでは『産後手帳』でおなじみ
アイナロハの渡辺さんが開催されている、
゛父親に産後を知ってもらう゛ことに重点を置いた
両親学級」の様子が紹介されていました。
以前ブログで、夫がそういうことを知る機会がない
ということに対してさんざん文句を言いましたが、
まさにこういう講座がもっと身近にある世の中に
なってくれたら、どれ程ありがたいかわかりません。
日曜朝の7時台という時間帯でどれくらいの人が
番組を見てくれたかはわかりませんが、
これが何かのきっかけになってくれることを
切に願っています。

今回紹介された2つの例がどちらも、夫婦が揃って
参加するものだったのも良かったですね。
結局、夫婦の関係性を良くするのに必要なのは
゛コミュニケーション゛に尽きるのでしょうね。
番組で紹介されていたご夫婦もお互い吐き出し合って
いろいろな発見があったようでしたが、
まずはそういう機会を作ることが大事な気がします。


さて二つ目は、土曜夜の「すくすく子育て」。
今回のテーマは「パパの子育てQ&A」でした。
この番組は毎回そんな深い所まで話が行かないので、
まず「パパ」をテーマにしてくれたこと自体を
ありがたく思えればそれで充分かなと思うのですが、
それでも今回はいろいろと気づきがありました。

番組の冒頭で出演者であるパパさん達が、
自分がやっている育児はこれ!みたいに
フリップに丸をつけて申告していたのですが、
もしそんなふうに世のお父さん方が
「これだけやってるから自分は育児している」とか、
「自分はイクメンだ」みたいに思ってしまっているの
だとしたら、それは違うなぁと思ったのです。

どれだけやったら、とかそういうものではなくて、
育児にしても家事にしても「我がこと」として
向き合えていなければ、所詮それはただの
「お手伝い」に過ぎないんじゃないかと思います。
今回、講師役の「1年間の育休を経験」した方の
話がなかなか良かったのですが、きっと
この人は育休で子どもの面倒を見ていた期間、
その子に対して「100%」の状態だったのでしょう。
つまりその子どもを世話することに対しての、
全責任が自分にかかっている状態。そうなった時に、
「ミルクはやるけどウンチのオムツはちょっと…」
なんてことを言っている場合ではないはずです。

だからお父さん方に、できたらお願いしたいのは
「作業は分担しても、責任までは分担しないで」
ということ。
子どもに関するあらゆることについての責任は
自分にも奥さんにも同じレベルで共有されている
ことなんだ、と思ってほしいのです。
そうでなければ、もし奥さんが何らかの理由で
急に全く育児ができなくなった時、自分が代わって
子どもの世話なんてできないじゃないですか。
それって想像するとなかなかに怖い状況ですよね。
仕事で言えば、まだ新人なのに上司もいなければ
引継ぎも一切されてない、ということな訳ですから。

ただあんまりこういうことを書くと、
「責任なんて重いなぁ」とますます逃げ腰になる
男性の方もいらっしゃるかもしれません。
でも、これもまた仕事と同じことが言えて、
「自分に全権がある」状態で仕事ができると、
実はとてもラクだし楽しいんですよね。
誰かの手伝いで中途半端に仕事に取り組むよりも
自分の裁量が大きい方がやり甲斐もあるし、
なにより面白い。
その考え方で、子どもに対しても「100%」の構えで
首を突っ込んでいると、育児は本当に楽しいんです。
だから早く仕事をおぼえて、新人から脱出することを
オススメしたいわけです。

と言いつつ、僕自身もなかなか100%の状態には
なれていないというか、例えば丸一日子どもの
世話をする、みたいな経験はあまりできていないので
若干言い訳じみてしまいますが、そうやって
責任の共有が二人の意識の上でできてさえいれば、
個々の作業自体を分担することは各家庭の
ご都合に合わせてやって頂いたら
それでいいんじゃないかと思います。
要は「100%の当事者」でいるかどうか、です。
もし仕事が忙しかったりして、どうしても自分で
子どものお世話をすることができなかったとしても、
その間に奥さんが代わりにやってくれていたことは
全て自分自身にも関わることなんだと考える。
そうしたら自然に情報は共有されたいと思うし、
何か解決すべきことがあれば自分からも意見を出して
答えを見つけようとするんじゃないでしょうか。
あとは実作業を二人がちゃんと納得できるバランスで
分け合っていけば良いことかと思います。

また逆に奥さんにお願いしたいのは、「夫の介入を
受け入れてもらいたい」ということでしょうか。
自分が今やっている子育ては決して自分一人の
責任ではなく、夫婦二人で共有するものなんだと。
(ほんとは二人だけの責任とも違うんですが、
話がブレるのでここでは置いときます)
だから夫の意見を「何にもやってないくせに!」と
拒絶しないで、どんどん当事者として
巻き込んで頂きたいのです。
別に「オット育て」なんかしようとしなくても、
゛100%当事者゛という意識さえあれば、彼らは
自然とスキルをアップさせてきますよ。たぶん。

残念ながら今の日本の社会では、男性が事前に
出産・子育てに自発的に積極的になる機会というのは
なかなか得られにくい状態なので、
やはり実践でおぼえていってもらうしかないのは
仕方のないことかと思います。
その時に意外と大きな障害になっているのが
女性の側の「どうせこいつはやらないだろう」とか、
「この人は忙しいから無理だろう」といった
思い込みかもしれない、というのはもしかしたら
一度考えてみてもいいことなのかもしれません。

いずれにしても、原因はどうあれ最終的には
夫婦の密なコミュニケーションが解決への糸口、
ということは変わらないように思うので、
ぜひ思い込みや先入観に捕われることなく
ちゃんと二人で納得するまで話し合ってもらって
良い夫婦関係を作って行ってもらえたらと思います。

それに、まさか最初から仲が悪くなろうと思って
結婚する人もいないと思うので、どうせなら
ずっと仲良しでいられた方がいいじゃないですか。
「結婚とはそんなもんだ」みたいな、親世代から
さんざん聞かされてきた話を当たり前のものに
することなく、「昔はそうだったけどね」くらいに
言ってやったらいいんじゃないかと思います。
そして『産後クライシス』なんていう言葉も、
さっさと死語になってくれることを願っています。