シーホースとナッツ

長女「きなこ」と次女「あんこ」の子育て中に考えたこと、の保管場所。

いい夫婦の秘訣は「我慢」じゃない

今日は「いい夫婦の日」ということで
朝のニュースでもそのことを取り上げていて、
そのコーナーの結論がまさかの
「いい夫婦の秘訣は我慢!」でした。
「夫婦間のストレスは我慢で乗り切れ」なんてことを
公共の電波で言っちゃってるわけなんですが、
それに対して全力で「違うぞ!」と言いたくて
筆をとった次第です。

ちょっと難しい言い方なのですが、昔学校の授業で
聞いた言葉に「防衛機制」というものがあります。
人がストレスに直面した時に、起きる心の作用を
何種類かに分類した心理学の用語のことで、
その中で「抑圧(=つまり我慢)」は
「最も原始的なもの」として紹介されているのです。

実際のところ、きっとストレスをいくら我慢しても
なくなることはありません。見えにくくなるだけで、
心の中ではいつまでもくすぶりつづけて、
いつか熟年になった頃に爆発しちゃったり
するものだと思います。
自分自身を振り返っても、つい自分の中に
押し込もうとしてしまって、結局抑え切れずに
失敗した経験は数えきれないほどあります。
原始的ということは、誰もが最も簡単に取り組める
ストレスへの対処法、なのかもしれません。

でもそんな、根本的には解決しない方法を
「オススメ」しちゃいけないと思うんです。
せっかく大人なんだから、もっと上手な解決法を
見つけて行けるはずで、どうせ何か言うなら
ぜひそういう方向に導いてほしいものです。

個人的に夫婦間のストレスを解消する一番の方法は
やはり「対話」じゃないかと思っています。
双方が理解し、納得できるまでちゃんと話し合う。
たとえ相手に共感できない違いを感じていても、
少なくとも「ワケわかんない」状態からは一歩進んで
「そういうふうに考えていたのか」と理解できる。
そこへ持っていく方法はやはり黙っているのではなく
会話を重ねることだと思うのです。
我慢とは、まさに正反対のやり方です。

でもそれがなかなか難しい。
言っても簡単にできることじゃない。
だからこその「秘訣」じゃないかと思うのです。
どうせテレビ言うのなら、そっちをオススメした方が
素敵じゃないですかねぇ。


もう一つ、最近ネットを騒がした
「飛行機で泣く幼児にクレームを付けた」人の話。
あれはもう特殊な人の例なので、特に何も言うことは
ないですが、その騒ぎを取り上げたニュースでも
「我慢は日本人の美徳だ」という締めくくられ方を
していて、何だかズレてるな…と思ったのでした。

仮に赤ちゃんの泣き声にどうしようもなくイライラ
してしまう人がいたとして、その原因が何なのか。
そもそも赤ちゃんの泣き声には人の心を
ざわつかせる成分が含まれているせいなのか、
その人が何か別の大きなストレスを抱えていて
赤ちゃんの声はそれを増幅させているだけなのか、
そもそもその人は大きな音に極端に敏感な人なのか。
そういういろんな可能性を考える機会を全部奪って、
ただ「日本人は我慢が美徳だからやりなさい」
というのはあまりにも乱暴なんじゃないか。

それこそ何も解決に向かわない、
ただそれが正義だから文句をいうな、というような
社会の風潮的なものを感じてしまいます。
そんなものは「原始的な方法なんだぞ」と訴えて、
もっとステキな解決方法を提案する方向に
議論が向かって行ってくれることを期待します。